4.銀座 鼻をくすぐる「街の香り」
人間は贅沢なもので街について求めることだって、街とは衛星的できれいで立派でどこから見てもそれなりにいい風景、などと思ったりする。しかしそれでは、街は全部田園調布や成城学園(もっともこちらは以前よりかなり俗っぽくなったよに思いますが・・・)のような高級住宅地や、多摩ニュータウンのように洗練された区画の整ったベットタウンとして整備さらた街ばかりになってしまう。そうなったら、街はあまりおもしろくない。
街には場所によって、例えば新宿の歌舞伎町辺りのように少しあやしい感じを見せたり、浅草や上野のように、庶民のための商店が並ぶ街並みもいい。時には渋谷や原宿のように若者たちがかっぽし僕たちのような世代のものは歩いていても少し浮いているような街だって悪くはないと思う。
そこで思うのだが、どんな街へ行っても、その街のにおうというものがある。いや、においとうよりは香りといいたい。銀座には銀座の香りがある。やはり世界の中の銀座には、高級感の漂う香りがある。もしかするとこの街を歩くどこかの貴婦人がつけている香水が、風に残っているのかもしれない。
夕方からの新橋には、やきとりとビールや焼酎で機嫌のよくなったサラリーマンたち。彼らが上司に向かってたまっていた文句と一緒に吐く息が漂って、駅前の広場からガード下の新橋駅に向かって流れている。
神保町のあたりには古本の紙と古いインクの香りがあり、散歩をしていると鼻がくすぐる。そう言えば、神保町から駿河台にかけたこのあたりにはやはり文化の薫りがしていると思う。
また、五反田にある映画のフィルムの東洋現像所(現在の「イマジカ」)の傍へ行くと現像液のすっぱい香りがしていた。
街には街の香りがあるものだが、香りではなくにおいとなるとあまり感心しないのもあるような気がする。そうだ香りは文化のひとつだった。